かめ！

(更新：2000.7.4)

(ストーリー)

ある日，アパート「和光荘」に暮らす大学生の前田君は，道端で，二頭身のおかしな亀を拾います。丸い大きな頭に点々お目目の愛らしい彼はアパートに同居し，いつのまにか「かめ」と呼ばれるようになりました。前田君の友達の青木君や渡辺君，高津君，双子の佐伯直子・直人姉弟，まじめな佐倉さん，青木君の彼女のえりちゃん(18)といった仲間たちに，かめが連れてきた弟分の「ぽて太」も加わって，貧乏だけどほのぼのとした日常を繰り広げます。
しかし，やがて前田君にも恋の予感が。さらにぽて太の出自が明らかになり，一騒動起こるも一段落し，また1人と2匹の楽しい暮らしが始まるのか？と思われた瞬間，突然の最終回を迎えたのでした。

(解説)

主人公のかめやぽて太の可愛らしさはもちろんなのですが，何といっても見どころは，前田君の温かな父性にあふれた育児生活，そして，全員が主人公を凌駕して個性的な仲間たちの牧歌的な学生生活ぶりです。
一方で，この作品の中には「牧歌的」とはまったく別の，シニカルな視点も息づいています。そのような視点を象徴するキャラクターとして，前田君の所属する「俳句同好会」の顧問でもある「磯貝教授」がいます。彼は，すっかりかめたちの魅力に取り付かれた揚げ句，ついに挙動不審の追っかけオヤジと化してしまいます。かめたちは，学校・ご近所という閉じられた社会では一種の「アイドル」として愛されました。しかし，いったん一般社会に出るが最後，邪魔なペットとして捨てられたり，可愛がっていた金魚を泥棒すると誤解されるなど，あくまで異端視される存在でもあり続けました。理性と常識をかなぐり捨てて，かめとぽて太を愛し続けた磯貝教授は，そんなかめたちの微妙な立場を如実に表した存在であると言えるでしょう。
（私はそんな磯貝教授を嫌いではありません）
個人的には，仲間のひとり「佐倉さん」の行く末が気にかかります。最も自然体で，かつ対等な精神でかめに接していた彼女は，片思いの直人君に本心を伝えることができたのでしょうか。一度だけ無理やりミニスカ，ケバ化粧で「女装」させられていた彼女も色っぽくて良かったですが，願わくばずっと彼女らしい自然体を保っていてほしいものです。

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