かめ2

(更新：2000.9.10)

(ストーリー)

海から陸に上がってきたかめ＆ぽて太。次々とトラブルを起こしつつも，さまざまな人に巡り会いながら彼らはなぜか東京を目指して旅を続けます。途中，トラック運転手の「兄貴」と助手のジローちゃんに拾われ，ようやく東京に着いた彼らは，そのまま2人のなじみのラーメン店の居候に。店の経営者にして趣味はギャンブル，のおいちゃんと，北海道からやってきた，おいちゃんの姪で店の手伝いをしながら高校に通う香子ちゃんをはじめとする周囲の人々を巻き込んで，ちょっとズレた日常が繰り広げられるのでした。そこに，今や社会人となった前田君の影もちらつき始め，更にかわいい顔して実は性悪なちびかめサスケも出現し，かめたちの暮らしに変化の予感も・・・？

(解説)

「かめ！」の連載終了から1年以上経って始められた連載に，最初実は戸惑いの念を禁じ得ませんでした。ようやく彼らのいないモーニングにも慣れ，増刊の「たこにご」を楽しみにすることに決めた矢先だったのに，今更戻ってこられても・・・という感想でした。
ストーリーも，初めは「たこにご」で試みられていたシュールな展開を，むりやり「かめ！」の世界に持ち込んでいるようでどこか納得がいかなかったのですが，かめたちがラーメン店に落ち着きおいちゃんと香子ちゃんの人物像が明らかになるにつれて方向性が確定したようです。
前作同様，ごく平凡な日常の中に現れた非日常的存在，がテーマではあるのですが，違うのはかめたちと家主との関係です。「かめ！」の前田君はかめたちにとって育ての親的存在であり，同時に兄のような存在でもありました。一方，香子ちゃんたちとの関係は，やや距離を置いたものになっています。この距離感は，今回の話のメイン舞台が食べ物屋という一般社会に直に接する場所であり，前作のようなアパートや学校という，閉じられた社会ではないということと無縁ではないと思われます。前田君やその仲間たちとが学校という閉じた空間で猫可愛がりしてくれたようには，一般社会はかめたちをどっぷり愛してはくれないのです。もっともラーメン店の面々も決してかめたちを可愛がっていないわけではないのですが。
この微妙な関係にも，サスケの策略でかめが家出に追い込まれたことで，ついに急展開が起こりました。あるものをキーワードにした記憶の覚醒と，懐かしい仲間たちとの再会。前田君とも再会したことだし，これで再び一緒に暮らせるのかな？と思いきや，またもや，不自然すぎるほどに唐突な別れが。またまたラーメン店での生活が始まりました。今度は，ぽて太との壮絶なバトルの末，ぽて太の弟子（？）になった，サスケ改め「かりめろ」も加えた暮らしになっていくようです。
ジェットコースターのように急速で不安定な展開が続いています。前田君と和光荘の面々の再登場で，一旦落ち着いたかに見えた今後の展開が，わずか連載１回分で起きたどんでん返しで，また見えなくなってきました。もしや編集部とながい先生との間に何か葛藤が生じているのではないかと，ひとり気を揉む今日このごろです。

・・・と，ここまでが，7月4日に加筆した文章。その後わずか10日足らずの2000年33号（7月13日(木)発売）で，懸念どおり連載終了となってしまいました。キャラクターが勢ぞろいして，さて，物語はこれから，に見えた所での結末。読者としてはやや消化不良な印象を持たざるを得ませんでした。
ラストの舞台は式根島。前作同様，大集合するかめたち。しかし，前作のような「別れ」ではなく「再会」で締めくくられました。最後の最後，ぽて太にとって大事な人物との再会も待っています。
もう，かめたちのお話がモーニング誌上で見られることはないかもしれません。もっともっと，前シリーズに登場した重要人物とも再会して欲しかった気もします。しかし，新シリーズ開始以来，流転の日々を送っていたかめたちにとって，この最終回の笑顔こそが，やっとたどりついた安息の地であると信じたいと思うのです。
8月23日に発売されたコミックスの表紙を見ると，かめたち3匹がビニールプールで楽しげに遊んでいます。裏表紙では，海辺で3匹仲良くすいかを食べています。かめたちにこのおだやかな幸福が続きますように。今はそう願うばかりです。

（おまけ）
「203の秘密」の話で再登場した村上さんが，目玉焼きを作っていました。目玉は2つありました。やっぱり隣の人と食べるのでしょうか？(^_^)気になるところです。

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